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JAMJAM日記

大友良英4デイズ8連続公演『ノイズまみれの天国にようこそ!』
いよいよ明日月曜より始まります!

 

今年のラスト!
新宿PITINN年末恒例 大友良英4デイズ8連続公演
『ノイズまみれの天国にようこそ!』
いよいよ明日月曜より始まります!

 年末恒例の8連続公演、はやいもので今年で6回目になります。はじまりは2011年。人生史上最悪の年の最後の最後に、このPITINN連続公演が始まりました。そのときに書いた文章、ちょっくら引用しますね。
 「オレにとって新宿PITINNは天国です。聖地です。ここに来ると、下界の煩わしいことを忘れて、ひたすら大好きな演奏が出来るわけで、なんて素敵なことなんだろうって思います。せめて年末くらいは本当に、こんなひどい世の中のことを一瞬でも忘れて、好きなことをやりたいなあって思います。だからこの4日間は小さいけど祭り、大友祭りです。」
あらら~~、なんかオレ、あのとき弱ってたなあ。
 2011年は最悪だったけど、でもそこから始まったこともいっぱいあって、そんなことに夢中になっているうちに「せめて年末くらいは本当に、こんなひどい世の中のことを一瞬でも忘れて、好きなことをやりたいなあ・・・」なんてことは、まったく思わなくなりました。だって、いつだって好きなことしかやる気ないもん。
今ならこう書きます。
 「オレにとって新宿PITINNは天国です。なにしろ、この新宿のあなぐらから、飼い慣らされたクソみたいな世界に向けてノイズの雨をわんさか降らせることができるわけで、これを天国と言わずして・・・」
 オレ自身もかつては、新宿のあなぐらから世界に向けて放たれたノイズの雨をあびた小僧でした。そのノイズの雨を放った張本人の吉増剛造さんや、山崎比呂志さんとの共演こそが、オレにとっては本物の天国です。
ノイズまみれの天国にようこそ! 
年末の4日間、ノイズの雨から豊かでめちゃくちゃな芽がたくさん吹き出てきますように。

12月26日
昼 大友良英ソロ「ノイズまみれの天国1」
  大友良英(el-g, ac-g, banjo, ds, piano 他)
夜 テニスコーツ + 大友良英「ノイズまみれのなぞなぞ」
  テニスコーツ(さやvo 植野隆司g) 大友良英(g)

12月27日
昼 大友良英 + 穂高亜希子 「ノイズまみれのSONGS」
  大友良英(g) 穂高亜希子(vo)
夜 吉増剛造 + 大友良英「ノイズまみれの天国2」
一部 大友良英ターンテーブルソロ
  二部 吉増剛造 +大友良英 DUO
  吉増剛造(詩) 大友良英(音)

12月28日
昼 大友良英のJAMJAMラジオ公開収録
  スペシャルトークセッション
  「60年代~70年代のフリージャズ創成期を聞く」
   大友良英 + 山崎比呂志
夜 大友良英 + 山崎比呂志 + 芳垣安洋 トリオ
    「ノイズまみれの天国3」
   大友良英(g)+山崎比呂志(ds)+芳垣安洋(ds)

12月29日
昼 大友良英スペシャルビッグバンド
 「ノイズまみれのサウンドトラックス1」 
夜 大友良英スペシャルビッグバンド 
 「ノイズまみれのサウンドトラックス2」
大友良英の劇番制作の現場をそのまま再現します。あまちゃんやトットてれびの楽曲の数々をはじめ、スペシャルビッグバンドがやってきたレパートリーもその場で解体、再構成、昼、夜、それぞれまったく違う展開で臨みます。
大友良英(G)江藤直子(P)近藤達郎(Key)斉藤 寛(Fl)井上梨江(Cl)鈴木広志(Sax)江川良子(Sax)東 凉太(Sax)佐藤秀徳(Tp)今込 治(Tb)木村仁哉(Tuba)大口俊輔(Acc)かわいしのぶ(B)小林武文(Ds)上原なな江(Per)相川 瞳(Per)Sachiko M(Sinewaves)

時間、料金、場所の詳細はPITINNのホームページを
新宿PITINN スケジュールページ

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トットてれび 最終回 森繁久彌の回 音楽参加メンバー

 

 はやいもので、もう最終回。見ているとあっという間でしたが、でも作っている方は、音楽チームだけでも半年以上の時間をかけていて、今年前半は、頭の中は「トットてれび」でした。それにしても、今思い返しても、最終回「ベストテン」現場で黒柳徹子さんとご一緒できたこと、本当に嬉しかったなあ。

 今回は、いつものスタジオでの劇伴録音以外にも、撮影現場で劇伴のように、あるいは出演者のように演奏したり、毎回ラストの生演奏をやったりしましたが、それだけではなく、筑波大学付属小学校の2年生と5年生の音楽の授業におじゃまして、その場で即興演奏をしながら劇伴を録音したり、神戸の音遊びの会と私が一緒にライブをやった現場にも音響チームに来てもらい録音しました。筑波大付属の小学生の声はオープニングテーマになり、彼らと一緒にやった即興演奏は、ほぼ毎回どこかのシーンで流れていました。音遊びの会と私の共演は、第二回と最終回で使われています。
 
 劇中に登場したミュージシャンものべで100人以上になります。とりわけ沢山出演してくれたのがテニスコーツのギタリスト植野隆司さんです。ほぼ毎回、あるときは新橋の路上ミュージシャン。またあるときはラジオドラマの劇伴奏者や笠置シズ子のバンクバンドにスーダラ節バンド。そして最終回ではアントニオ古賀さん役で冒頭「徹子の部屋」のシーンに出演。それだけではなく老人ホームの慰問バンドのメンバーもやっていました。 
 最終回ラストで印象的なサックスソロ奏者として出演演奏していたのは鈴木広志。彼もまた新橋路上ミュージシャンや笠置シズ子バンド、スーダラ節とあらゆるシーンに出演していました。
 そして最終回のラスト、何と言っても特記しておきたいのは坂田明さんや坪口昌恭さん、高良久美子さん、栗コーダーカルテットのみなさんほか、もう僕らの世界では大スター級のミュージシャンが多数参加していることです。詳細は下記の参加メンバーを参照下さい。
 こうしたミュージシャン参加の撮影現場で、演出陣と音楽家の間をつないで仕切ってくれていたのが今回のメイン作曲者Sachiko Mさんでした。最終回でも老人ホームのシーンで彼女の顔がチラリと映り込んでます。
 もう一人の作曲者の江藤直子さんもまたラジオドラマのシーンをはじめ多くのシーンで出演しています。わたしの劇伴には欠かすことの出来ない最高のパートナーです。今回は、途中わたしが欧米ツアーで留守してしまったこともあり、Sachiko Mさんや江藤さんをはじめ参加のミュージシャンそれぞれが自らのアイディアで現場を乗り切ることで成り立った作品でもありました。そして、なによりも特筆すべきは、そうした僕ら音楽家の関わり方に対して、主演の満島ひかりさんが最大限の敬意をもって反応してくれたことです。これがあってこその現場でした。
 演出の井上剛さんと、いつかこんなことをやってみたいって話を、それこそ「あまちゃん」をやる前からずっとしていました。音楽は一人で生み出すものではなく、みんなで生み出すもの、いつもそんな風に思ってやってきました。ドラマでもそんなことが出来たこと、そしてそれがテレビを見ているみなさんにも伝わったことが何よりもうれしく、同時にまだまだこの先もありそうだぞなんて、ちょっと欲ばった気持ちもむくむくと出て来ています。

劇中音楽

ラストシーン
「テレビジョンがやってきた」(作曲 Sachiko M)
「ベストテン、ファンファーレ」(作曲 服部克久)
「出発の歌」(作曲 服部正 作詞 飯沢匡)
演奏
大友良英(指揮、ac-g)
坂田明(as) 井上梨江(cl) 上運天淳市(bs) 斎藤寛(fl)
北陽一郎(tp) 三浦千明(tp) 松本治(tb) 青木タイセイ(tb)
栗コーダーカルテット[栗原正巳(リコーダー)川口善之(ss) 関島岳郎(tuba)
江藤直子(p)坪口昌恭(key)桜井芳樹(バンジョー)
高良久美子(シロホン)かわいしのぶ(b) 東広典(ds)
こぐれみわぞう(チンドン太鼓)Sachiko M(perc)

ラスト直前、路上のサックスソロシーン
「トットひとり」(作曲 Sachiko M、大友良英)
演奏、出演 鈴木広志

老人ホーム慰問バンド
「好きになった人」(作曲 市川昭介 作詞 白鳥朝詠)
「知床旅情」(作詞作曲 森繁久彌)
近藤達郎(アコーディオン)江藤直子(key)
東涼太(sax) 植野隆司(g) 小林武文(perc)
Sachiko M(perc)

冒頭【徹子の部屋】のシーン
「知床旅情」(作詞作曲 森繁久彌)
歌 吉田剛太郎、ギター 植野隆司(アントニオ古賀役)

オリジナル音源
「ベストテン」のテーマ(作曲 服部克久)
「徹子の部屋」のテーマ(作曲 いずみたく)

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 演奏 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,セレスタ) 堀米綾(harp) 中山正瑠(oboe)斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp)今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
筑波大付属小学校のみなさん
神戸、音遊びの会のみなさん

音響デザイン 島津楽貴、柴田なつみ、今井裕
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

最終回ラストシーンの撮影の合間に、新橋のセットの中で昭和のかっこうをした参加ミュージシャンみんなで記念写真

トット最終回1

トットてれび 第6回 渥美清の回 音楽参加メンバー

 

 現在来年の夏に行われる札幌国際芸術祭2017の準備でてんやわんやの状態でして・・・あ、え~と、実はわたしはこのフェスの芸術監督というのをやることになって、普段やりつけない仕事で、もう大変すぎて、先週はこのブログを書けないばかりか、テレビすらも見ることできない状態でした。というわけで、すっかりメンバー紹介遅れてしまいました。

 「トットてれび」今週は、いよいよ最終回ですが、その前に、先週土曜に放送された渥美清さんの回にことを。
 今回も、実際の撮影の現場に多くの音楽家が参加しています。「夢で会いましょう」のシーンで中村獅童さん演じる渥美さんがチンドン屋さんの姿になりますが、このときに一緒にチンドンで演奏していたのはシカラムータの大熊ワタルさんとこぐれみわぞうさん、ピアノ演奏でちらりと映ったのは近藤達郎さんです。ラストの「男はつらいよ」ではさらに多くの音楽家が生演奏で参加していますが、今回はなんと言ってもチンドンの音楽を長年やりつづけている大熊さん、みわぞうさん、そしてギターの桜井芳樹さんが特別に参加してくれたの、とっても大きかったです。

 このドラマの音楽については、どうしてもわたしの名前が前にきてしまいがちですが、実はメインのいくつかのテーマメロディはSachiko Mさんの手によるものが多く、しっとりとしたストリングスの曲や三拍子の不思議なムードのものは江藤直子さんの作曲のものが多数です。もちろんわたしも作曲、編曲、演奏等々で参加していますが、今回はわたしが中心ってよりは、企画の段階から三人でつくってきました。もちろん演奏参加の大友良英スペシャルビッグバンドがよってたかって音楽を生きたものにしていったわけですが、撮影の日程の関係上、なかなか全員がそろわない日も多く、なので今回のように、たくさんの音楽家に助っ人を頼んでいます。われらがビッグバンドの名キーボード奏者近藤達郎さんも、今回はほとんどスケジュールがあわない状態だったのですが、この第六回目でようやく参加出来ました。

 ということで、お待たせしました。今回の音楽参加メンバーの紹介です。

劇中音楽

ラストの「男はつらいよ」
作曲 山本直純 作詞 星野哲郎
歌 中村獅童
ちんどん屋メンバー
チンドン太鼓:こぐれみわぞう
クラリネット:大熊ワタル
大太鼓ゴロス:小林武文
ギター:桜井芳樹
アコーディオン:近藤達郎
サックス:江川良子
トロンボーン:今込治
チューバ:木村仁哉
+ 新橋商店街の音楽家達
トランペット:佐藤秀徳
サックス:東涼太
フルート:斎藤寛
クラリネット:井上梨江
パーカッション:上原なな江、かわいしのぶ、Sachiko M

otokoha

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 演奏 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,セレスタ) 堀米綾(harp) 中山正瑠(oboe)斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp)今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
筑波大付属小学校のみなさん

音響デザイン 今井裕
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

写真は昭和三十年代「夢で会いましょう」に出演中の黒柳徹子さんと渥美清さん。映り込んでいるマイクは、一見アメリカ製RCAのリボンマイクに見えますが、おそらくは当時NHKが使っていた東芝のリボンマイクTYPE-Bじゃないかな。わたしは使ったことはありませんが、素晴しい音がしていたそうです。日本の技術者達はアメリカの技術に追いつくために涙ぐましい努力をしていた・・・そんな時代でもありました。

yumede

6月4日 トットてれび 第五回 向田邦子さんの回 音楽参加メンバー

 

昨夜、京都の老舗クラブ「クラブメトロ」で日本の音響デザインの開祖大野松雄さんとライブをやりました。当年86歳。戦後まもなく、文学座でキャリアをスタート。開局当初のNHKテレビの音響団(現在の音響デザイン部)を経て、日本最初の連続テレビアニメ「鉄腕アトム」の音響デザインをテープコラージュによるミュージックコンクレートで担当。これは当時も、今の視点で見ても、相当にぶっ飛んでいるというか、世界的に見ても画期的な仕事でした。そう、あのアトムの足音を作った張本人が大野さんなんです。
その大野さんと会うなり
「大友さん、トットてれびみましたよ。あのね、当時のNHKのスタジオはあんなに広くなかったんですよ。事務室だったところに仮設でテレビスタジオ作ったんですから。天井も低くてね。それとね、あのディレクターのノリは民放のもので、NHKのディレクターってのは、もっと落ち着いてたもんですよ。あとね、飯沢匡さんってのは・・・・(以下延々話しは深夜まで続きます)」
大野さんがNHKに入社したのは黒柳さんより1年前、実際にあの現場にいらっしゃった方です。黒柳さん同様、まだだれも経験がなかった頃に、テレビの現場を作られた方です。いや~~、もう話を聞いていて冷や汗がでましたが、でも最高に面白かった。これ本にしてほしいくらいです。

 さてさて、今週の「トットてれび」いかがでしたか。ミムラさん演じる向田さんが素晴しかったなあ。
 残念ながら今週は僕らの出演はありません。でも、中に出てくる当時の劇伴は、わたしにとっては70年代を代表する名曲と言ってもいいものばかりです。ご存知の方も多いと思いますが「時間ですよ」を作られた山下毅雄さん。わたしが最も敬愛し、実際に当時の作品を復刻したり、研究しリメイクしたくらい影響を受けた昭和の劇伴を代表する作家です。
 「寺内貫太郎一家」の井上堯之さん、大野克夫さんは、新しい劇伴のスタイルを70年代に確立したと言っても過言ではないでしょう。「傷だらけの天使」あたりの初期の井上堯之バンドの劇伴では、ベースの岸部一徳さんが本当に素晴しい演奏をして、もうこのあたりの劇伴は、わたしにとってはマスターピースです。井上さんのいたスパイダース、岸部さんやジュリーがいたタイガースが合併して出来たのがPYGというバンドで、このバンドがインスト化したのが井上堯之バンド・・・というのがわたしの認識ですが、それであってるかな。この辺の音楽、面白いですよ~。
 そして、わたしにとって、最も衝撃だったテレビの劇伴といえば向田さんの「阿修羅のごとく」につきます。ここに出てくるトルコの軍楽隊の音楽、当時はこんな音楽、聴いたことすらなく、いったい何の楽器でやっているのか見当もつかないばかりか、嬉しいのか、悲しいのか、怒ってるのか、恐いのか、勇ましいのか、そういうった言葉になるような感情の方向すら見当もつかない音楽で、ドラマの中に巨大な異界への穴があいてるかのように感じたものです。ここまで衝撃的な劇伴、あとにも先にもないなあ。

 今週の劇伴も江藤直子さんとSachiko Mさんの作曲が冴え渡っています。わたしも含め、この三人の作曲チーム、案外でしょ(向田邦子風、意外といいでしょ・・・ってニュアンスかな)。次週渥美清さんの回も素敵な音楽、沢山出てきます。お楽しみに。

劇中音楽

徹子の部屋
1976年~現在まで
作曲 いずみたく

時間ですよ
1970~73年
作曲 山下毅雄

寺内貫太郎一家
1974年
作曲 井上堯之、大野克夫

阿修羅のごとく
1979~80年
トルコの軍楽隊(メフテルハーネ)
「ジェッディン・デデン」

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 演奏 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,セレスタ) 堀米綾(harp) 中山正瑠(oboe)斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp)今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
筑波大付属小学校のみなさん

音響デザイン 島津楽貴 柴田なつみ
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

写真は若き日の大野松雄さんと、わたしと共演した際の現在の大野さん。そして向田邦子さんと森繁久彌さんです。

大野松雄

大野、大友

向田、森繁

5月21日 トットてれび 第四回 ニューヨークニューヨーク 音楽参加メンバー

 

 半月にわたるアメリカ滞在のあとは、ベオグラード、モスクワ、オスロと旅をして、今はバルセロナに向け移動中。え?なに遊んでるんだって? 観光してる場合かって? いえいえ、そんな優雅なもんじゃないっす。ニューヨークのあとは、連日移動のコンサートツアー。観光どころか、コンサート会場とホテル以外は移動の車か機内。おまけにホテルに戻るのはギグが終わった深夜。毎日ホテルに戻って考えることといえば、バスルームで洗濯したその日の服を、出発までの間にどやって乾かすか。でもって、数時間後の早朝に再びホテルをチェックアウトして、車で空港に向かい、ひたすら機内で睡眠の過酷なツアーであります。そのいつもなら熟睡するはずの機内で、今日は日本の放送時間にあわせてNHKから送られて来た「トットてれび」第4回を見ております。
 夢のような昭和三十年代が終わり、時代は昭和四十年代。世は高度成長期。画面でも路上の音楽家の姿が消えます。第一回から三回まで、路上にバンドマン達が何人もいたの気付いていただけましたでしょうか。これ、わたしのビッグバンドのメンバー達やテニスコーツのギタリスト植野くんなんかが、早朝から深夜まで、実際に劇伴を演奏しながら撮影につきあってくれてたんです。
 こう書くと、高度成長期以前は新橋の路上にミュージシャンがいたのかって疑問でてきそうですよね。それがですね、意外や意外、戦後間もなく、新橋の路上には、米軍基地で演奏の仕事を待つバンドマン達があふれていたそうなんです。携帯どころか電話すらろくになかった時代、バンドマンたちは仕事を求めて新橋界隈に集まり、ここにこるバンドマンを集めて米軍基地のクラブに紹介するインペグ屋(マネージャーのような人っていったらいいのかな)を待ってたんだそうです。基地から車でやってきて、「はい、トランペットにサックス、ベース、ドラムにピアノ~~」なんて言いながらその場で集めたメンバーでバンドを組んで基地で演奏、中にはベースの人数が足りなくて、ベースだけ持って、弾いてるふりしてればいいやなんていう「たちんぼ」と呼ばれる人までいたそうで、さすがに、こんな世界はオレは知りませんが、でも、音楽の世界に足を踏み入れたころの先輩達から聞いたウソのような本当の話なんです。そんなバンドの中から戦後の一大ジャズブームが起こり、クレージーキャッツが生まれたり、後々はそんな中から前衛ジャズをやる、僕らの大先輩達が出て来たわけで、そう考えると、まあうっすらだけど僕らが今いる世界にもちゃんと繋がってるなって思うわけです。

 徹子さんがニューヨークに行ったのは1970年代。今現在のニューヨークは治安も極めて良好。マンハッタンには金色に輝くピカピカの張りぼてのようなトランプタワーなんかがいくつも建っていて、街中は中国や東欧のお金持ち観光客であふれかえってますが、当時のニューヨークはずいぶん雰囲気も違っていたと思います。わたしが行き出した80年代後半、90年代初頭でさえも、治安は相当悪かったですから。
 トットちゃん、いったいどんなニューヨーク暮らしをしていたんでしょうか。当時の有名な写真をネットでひろったので、下に貼付けておきますね。それにしても、年上の方にこんなこと言うの、失礼とはおもいつつ、でも、めっちゃ可愛いなあ。まわりにいた人は、きっとみんな彼女を好きになっちゃうんだろうなあというのが分かる写真です。ドラマでの満島さんは、この徹子さんのチャーミングな雰囲気、凄く丁寧に、大切につかんでいるように思います。

 今回、ラストに出てくるのは、徹子さんのニューヨーク時代にちなんで「ニューヨーク、ニューヨーク」(実際にこの曲がヒットしたのは、徹子さんがいた時代の少し後です)。ミュージカル仕立てでこの曲をやろうってアイディアは満島ひかりさんからでした。オーケストラのアレンジは江藤直子さん。すごくいいアレンジだと思います。今回彼女は、劇伴の方でも何曲か担当してくれています。そして一緒に踊って歌ているチャップリン役は、満島さんの幼なじみでもある三浦大知さんでした。

 
第三回 劇中の音楽

「ニューヨーク、ニューヨーク」
作曲 John Kander  作詞 Fred Ebb
編曲 江藤直子
歌 満島ひかり 三浦大知
演奏
江藤直子(p,セレスタ) 堀米綾(harp) 斉藤寛(fl) 井上梨江(cl) 鈴木広志(sax) 東凉太(sax) 織田祐亮(tp) 佐々木大輔(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 水谷浩章(b) 芳垣安洋(ds)
ストリングス:金原ストリングス
指揮 大友良英
演奏録音、NHK506スタジオ

「はてな劇場」のテーマ曲
オリジナル音源より
作曲 齋藤英美

「繭子ひとり」のテーマ曲
オリジナル音源より
作曲 柳澤剛

「徹子の部屋」テーマ曲
オリジナル音源より
作曲 いずみたく

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,セレスタ) 堀米綾(harp) 中山正瑠(oboe)斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp)今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
筑波大付属小学校のみなさん

音響デザイン 柴田なつみ
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

いくつか訂正です。
第4話の音響デザインは柴田なつみさん。
それから路上ミュージシャンが消えたと書きましたが、実は一カ所だけ、テニスコーツの植野隆司さんが出てます。
それと、ニューヨークニューヨークの参加メンバー、わたしも指揮で参加してました。自分自身をかきわすれておりました〜。

黒柳徹子NY1

黒柳徹子NY2

5月14日 トットてれび 第三回 夢にまで見た「スーダラ節」 音楽参加メンバー

 

 今回もニューヨークで「トットてれび」見てます。夢にまで見た「スーダラ節」です。本当に、人生史上最高に好きな曲と言っても過言ではなく、クレイジーキャッツと「スーダラ節」をやれたらもう死んでもいいってくらい、そのくらい思い入れの強い曲です。おまけに大好きだった坂本九ちゃんまで共演、もう、オレ、この撮影のときには、感無量で・・・。

 子どもの頃、それこそこの番組の舞台だった昭和三十年代、週末になると毎週のように横浜は杉田にあった母方の実家に遊びにいってました。ここが、なんというか、劇中の中華飯店みたいな感じで、親戚だけじゃなく近所の人もあつまってきて週末になると飲めや歌えやの宴会なんです。大人達がそうやって楽しくやってる姿が大好きで、わたしの原風景と言ってもいいくらいです。自分がこうして音楽家になったのも、多分、あの毎週末の宴会があったからだと本当に思ってるくらい。
 まだ幼稚園にあがる前のわたしも、調子に乗って「スーダラ節」で踊りまくり、九ちゃんの曲を歌いまくってました。そういえば、3歳くらいのオレが、杉田の宴会で「スーダラ節」を踊っていた8mmフィルムが昔あったんだけど、今はどこにいっちゃたかな。出てこないかな。もう、実際にそんな世界があったのかてくらい、遠い遠いはるか夢の彼方の出来事になってしまいましたが、でもかつて、本当にこんな風にみなで歌い踊りながらテレビを見ていた時代があったんです。テレビが本当に「祭り」だった時代があったんです。その時代に戻ってほしいとは思っていませんが、でも、震災後、わたしはいつもこの「祭り」のこと、そして「テレビ」というメディアのことを考えてしまいます。
  
 スーダラ節の撮影は横浜の緑山スタジオで行われました。アレンジをする際に、萩原哲晶さんのオリジナルに極めて近い譜面を所有していたスタディストで音楽家の岸野雄一さんにも協力してもらい、今回はなるべくオリジナルに近いアレンジで、実際に撮影時に、またもや我がままを言って生演奏させてもらいました。(生演奏での撮影がどれだけ大変かは第一回のことを書いたブログでも書いたとおりです)だから、今回も、当てブリや口パクではありません。
 なんというか、映像だけみていると生なのかどうか、分かりにくいと思いますが、でも掛け値なし本物の生演奏でした。これ、伝わってるかなあ。少しでも伝わればいいけど・・・。

 オリジナルの編成よりは小さい編成でしたが、でも我ながら相当近い雰囲気がでていたんじゃないかって思っています。でも唯一、大きく再現できなかったのがイントロの電気楽器の音です。こう書くと、ん? 電気楽器なんて出てくるか? って言われそうです。でも、実はイントロのメインのメロディを担当するちょっとすっとぼけたオーボエかファゴットのように聴こえる木管楽器の音色、これ、前々から生楽器に聴こえなくて、きっと自分の知らないなにかオルガン系の電気楽器なんじゃないかと睨んでいたんですが、いろいろと調べてみると(というかTwitterで問いかけてみたところ、多くの意見がよせられて判明したのですが)、これ、今はもうほぼ現存していないクラヴィオリンという鍵盤電気楽器でした。当時の歌謡曲や映画の劇伴にはずいぶん使われていたそうで、確かに、そう思って探してみると、オルガンだとばっかり思っていたものの中に、このクラヴィオリンなる楽器で演奏されていたものが結構あったりします。
伊福部昭公式ホームページ(暫定版)電波楽器クラヴィオリン
 子どもの頃はそんなことと考えずに、歌って踊ってましたが、実際自分たちで演奏しようという段になって、いろいろこれまで見えてなかったものが見えて来たり、聴こえてきたりして、本当に面白かったなあ。またこんなことやりたいなあ~、井上さ~~ん。

 劇中のドラマ「若い季節」のテーマ曲と劇伴は前回のブログで書いたとおり映像や劇伴は現存してなく、なので、当時実際に曲を書いていた作曲家の桜井順さんに、今回の番組のために、当時の台本をもとに、なるべくオリジナルに近いものを思い出してもらい、アレンジも含め書き起こしてもらいました。それを僕らで演奏したものが、今回使われてます。その譜面は、本当に読みやすい手書きの譜面で、実際演奏していて、当時の音楽が,自分たちの手で解凍されていくような感じで、本当に涙が出る思いでした。こういう音楽を聴いて僕らは育ちました。桜井さん、心より感謝致します。本当に本当にありがとうございました。(どなたか桜井さんにこのことを伝えられる方がいましたら、ぜひ、感謝の気持ちを伝えてください)

ということで、今回も演奏参加のメンバーを記しますね。

第三回 劇中音楽の生演奏参加者

スーダラ節
作曲 萩原哲晶 作詞 青島幸男 
オリジナル ハナ肇とクレージーキャッツ 1961年8月20日リリース
歌 トットてれびオールスターズ
演奏
大友良英(el-g) 植野隆司(ac-g) 江藤直子(p) 斉藤寛(fl) 井上梨江(cl) 鈴木広志(sax) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 織田祐亮(tp) 松本治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds) 上原なな江(per) Sachiko M(perc)
楽器協力 GOK SOUND
譜面協力 岸野雄一

「夢であいましょう」の中の「上を向いて歩こう」
作曲 中村八大、作詞 永六輔
歌 錦戸亮
演奏
大友良英(ac-g) 江藤直子(p) 斉藤寛(fl) 井上梨江(cl) 鈴木広志(sax) 江川良子(sax) 佐藤秀徳(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,toy-p) かわいしのぶ(b) 小林武文(ds,perc) 相川瞳(perc)上原なな江(marimba,perc) Sachiko M(perc)

「夢であいましょう」のテーマ曲
これは坂本スミ子さんがうたうオリジナル音源です。
作曲は中村八大、作詞は永六輔です。

「若い季節」の音楽
作曲 桜井順 作詞 永六輔
歌  elfin’(スパークス役)
演奏 大友良英(el-g) 江藤直子(p) 斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl,) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 織田祐亮(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc) 水谷浩章(b) 芳垣安洋(ds) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(marimba)

路上音楽家
植野隆司(ac-g) 佐藤秀徳(tp) 大口俊輔(acc)
(すご~~く分かりにくいですけど、3人とも映ってます)

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,key) 堀米綾(harp) 斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp)今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per) Sachiko M(perc)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
音遊びの会のみなさん
筑波大付属小学校のみなさん

音響デザイン 島津楽貴
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

スーダラ節撮影の合間の大友良英スペシャルビックバンドのメンバー達

スーダラ1

スーダラ4

5月7日 トットてれび 第二回 音楽参加メンバー

 

 ドラマ「トットてれび」第2回、いかがでしたか。わたしはこの2回目を、黒柳徹子さんにとっても、作曲者の中村八大さんにとっても縁のある街、ニューヨークで見ました。(八大さんは60年代に、黒柳さんは70年代に住んでいたことがある街です)自分たちで音楽を作っておきながらですが、「上を向いて歩こう」のこのラストシーンで、いつも泣いてしまいます。同時にテレビジョンに関わる人間のはしくれとして襟を正す思いです。
 今回、僕ら音楽チームは画面にはあまり映ってませんが、しっかり演奏してます。
錦戸亮さんやバンドのメンバー、そして出演の沢山の子ども達との「上を向いて歩こう」の収録は「潮騒のメモリー」を収録したのと同じビクタースタジオで行われましたが、本当に素敵な時間でした。当日は作曲家中村八大さんの息子さんの中村力丸さんも駆けつけてくれて(八大さんの名曲「こんにちは赤ちゃん」の赤ちゃんだった人です)、ボクには、それがとっても嬉しくて。いろいろなところで、既に書いてますが、坂本九さんは、わたしが幼少の頃、一番好きだった歌手で、今でも大好きで、おまけに、坂本九と一緒に育った甥っ子だったのが、日本のフリージャズ初期の伝説のサックス奏者阿部薫で、十代の頃、彼のライブを福島で度々見、声までかけてもらったのが、わたしが音楽の世界に入る大きな切っ掛けになったんです。阿部薫がが坂本九と一緒に育ったなんてことは、後年になって知ったことですが、でも、幼少の頃大好きだった歌手と、青年期に憧れた即興演奏家が、同じ育ちだったなんて、本当に驚きました。
 実は力丸さんとは、ちょっとした縁があって、中学高校時代の音楽仲間で、オレにギターのいろはを教えてくれた桑原くんが就職した某音楽会社の隣の席で仕事をしていたのが力丸さんだったんです。そんな縁もあって、力丸さんとはその後仕事でもご一緒することになり、昨年11月には横浜の「KAAT」で中村八大さんの名曲の数々を演奏する機会も得ました。このときのコンサートには、演出の井上剛さんや、今回の音響デザインを担当している島津貴楽さんほか「トットてれび」のスタッフも多数きてくれました。

 「襟を正す思い」と書きました。自分がメディアに、とりわけテレビやラジオに積極的に関わるようになったのは震災後です。「トットてれび」に出てくる時代が戦後まもなくだったことの意味と重ねあわせながら、二回目を見ました。

 今回も、劇伴と劇中音楽に演奏で参加してくれたメンバー、および劇伴スタッフを紹介させてください。1月に神戸に行って録音した「音遊びの会」のみんなの演奏や、同じく筑波大学付属小学校に行って録音した子ども達の声や演奏も使われています。子ども達と録音した錦戸さんの歌、本当に素敵でした。ずっと笑顔で歌っていて、子ども達も全力で歌ってくれて、坂本九さんの面影見えてくるようで、録音時にも、ボクは感動して泣いてました。

(前回の劇伴紹介のときに水谷浩章さんの名前が抜けてました。ごめんなさい)

第二回 劇中音楽参加者

「上を向いて歩こう」
作曲 中村八大、作詞 永六輔
歌と口笛:オリジナル 坂本九
 「トットてれび」バージョン 錦戸亮+沢山の子ども達
演奏
大友良英(g,編曲) 江藤直子(p,ストリングス編曲) 斉藤寛(fl) 井上梨江(cl) 鈴木広志(sax) 江川良子(sax) 佐藤秀徳(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,toy-p) かわいしのぶ(b) 小林武文(ds,perc) 相川瞳(perc)上原なな江(marimba,perc) Sachiko M(perc)
金原ストリングス
収録 ビクタースタジオ

劇中のテレビドラマ音楽
当時生放送だったNHKドラマの多くは映像が現存せず、劇伴の譜面も残っていないため、どんな劇伴だったかの手がかりがありませんでした。ただ幸いなことに、当時「若い季節」や「お父さんの季節」等数多くのテレビドラマの劇伴を担当されていた作曲家の桜井順さんが現役で活躍されていて、現存している当時の脚本を見ていただき、こうであったろうという譜面を書き起こしてもらうことが出来ました。その譜面を以下のメンバーで再現したものが、第2~3回目の随所で使われています。
大友良英(el-g) 江藤直子(p) 斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl,) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 織田祐亮(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc) 水谷浩章(b) 芳垣安洋(ds) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(marimba)
これ以外にも中村八大作曲、永六輔作詞、坂本スミ子さんが歌う「夢で逢いましょう」のオリジナルのテーマ曲が使われています。

路上音楽家
鈴木広志(sax,harmonica) 木村仁哉(tp) 佐藤秀徳(tp)

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

第2回目の劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,key) 堀米綾(harp) 斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp,口笛) 今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) 水谷浩章(b) かわいしのぶ(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per) Sachiko M(perc)
ストリングス:金原ストリングス
音遊びの会のみなさん
筑波大付属小学校のみなさん

音響デザイン 島津楽貴
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

「夢で逢いましょう」に出演したときの黒柳徹子さんと中村八大さん
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今回美術部が作った「夢で逢いましょう」オープニングに使われた暖簾
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トットてれび 第一回 音楽参加メンバー

 

NHK総合テレビの毎週土曜夜8時15分、黒柳徹子の若き日をモデルにしたドラマ「トットてれび」がはじまりました。
演出を手がけるのは「あまちゃん」や「64」でおなじみ、わたしにとっては盟友でもあります井上剛。音楽を手がけるのは、おなじく「あまちゃん」でもコンビを組んだSachiko M、江藤直子、そしてわたくし大友良英。演奏は、大友良英スペシャル・ビッグバンドです。
今回のドラマの肝はですね、いくつかのシーンでは、実際に生演奏で、お芝居と同時に演奏してるところなんです。通常ドラマや映画で流れる音楽は、撮影や編集が終わって後から映像の上に付け加えられるか、あるいは音楽の演奏シーンであれば、事前に録音して「当てブリ」と言って、撮影時にさも歌っているかのように、演奏しているかのように、やってる「ふり」をしながら撮影するものなんです。でも今回は違います。音楽のシーンは、ほぼその場で演奏し歌っています。劇伴のように聴こえるものでも、その場で実際に演奏していたりするシーンも多数です。
え? そんなん、あたりまえやろって? いやいや、普通、そんなことやって収録するのって、技術的にも、録音的にも大変すぎてやれないんです。でも今回はやっちゃいました。「あまちゃん」を見ていた方は覚えているとおもいますが、最終回近くの鈴鹿ひろみさんが歌うシーンが、まさに生収録だったんですが、今回はそれをより発展させた感じです。明日の1回目で言えば、EGO-WRAPPIN’の中納 良恵さんがスペシャルビッグバンドとともに歌う「買い物ブギ」のシーンは全て生演奏ですので、ぜひ注目してやってください。僕らも当時っぽい姿をして後ろの方にチラチラ映ってます。(あ、オレ、最近髪の毛切ったのも、この撮影のためでした)

ということで昨夜放送された第一回の劇伴と劇中音楽に演奏で参加してくれたメンバー、および劇伴スタッフを紹介させてください。

劇伴
作曲,プロデュース Sachiko M、江藤直子、大友良英
編曲 大友良英スペシャルビッグバンド
ストリングス編曲 江藤直子
ストリングス指揮 佐々木次彦

劇伴演奏
大友良英(g) 江藤直子(p,key) 堀米綾(harp) 斉藤寛(fl, picc) 井上梨江(cl, bcl) 鈴木広志(sax,b-cl, rec,harm) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp,flh) 織田祐亮(tp,口笛) 佐々木大輔(tp) 今込治(tb) 青木タイセイ(tb)木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc,org,toy piano) 坪口昌恭(org) かわいしのぶ(b) 水谷浩章(b) 芳垣安洋(ds、perc) 小林武文(ds,perc) 上原なな江(mar, per) 相川瞳(per) Sachiko M(perc)
コーラス:サンズリバーズ(高瀬”Makoring”麻里子、飯田希和、加藤圭子)
ストリングス:金原ストリングス
筑波大学小学校の子ども達、
音遊びの会のメンバー達

音響デザイン 島津楽貴
録音 NHK506スタジオ 2016年3月15,17,28日 4月26日
ミックス NHK604スタジオ 2016年4月4日~4月28日
エンジニア 高橋清孝 中井レイ
アシスタントエンジニア 森山芳晴
制作 佐々木次彦(ムスタッシュ)

第一回 劇中音楽の生演奏参加者

買い物ブギ
中納良恵 from EGO-WRAPPIN’(vo)
大友良英(el-g,指揮) 植野隆司(ac-g) 江藤直子(p) 斉藤寛(fl) 井上梨江(cl) 鈴木広志(sax) 江川良子(sax) 東凉太(sax) 佐藤秀徳(tp) 今込治(tb) 木村仁哉(tuba) 大口俊輔(acc) かわいしのぶ(b) 東広典(ds) 小林武文(ds) 上原なな江(per) Sachiko M(electronics)
楽器協力 GOK SOUND

路上音楽家
植野隆司(ac-g) 鈴木広志(sax,harmonica) 佐藤秀徳(tp) 木村仁哉(tp) 大口俊輔(acc)

ラジオドラマ劇伴音楽家
江藤直子(作曲,celesta) 植野隆司(ac-g) 栄田嘉彦(violin)

買い物ブキ撮影の合間の大友良英スペシャルビックバンドのメンバー達

20160501JJ

宮古島コレクティブ(2月24日、25日)

 

来週2月24,25日に行われる宮古島コレクティブの詳細でました。
 宮古島のみなさん、はじめまして。今回はわたしにとっては、宮古島のみなさんへのご挨拶のトークと演奏のセッションです。みなさんとの出会いを楽しみにしています。どうかよろしくお願いします。

 アンサンブルズ・アジア・オーケストラが立ち上がって1年数ヶ月、フィリピン、インドネシア、ベトナム、タイでの調査や継続的なワークショップを経て、最初の国内での活動の地は宮古島です。
 フィリピン、インドネシア・・・と国名を書いてしまいました。ついつい、わたしたちは、何かを考えるときに、国境で区切って、同じ国境の内側は同じ文化があると考えがちです。でも、実際のアジアの国々を調査してみると、同じインドネシアのジャワ島でもジョグジャカルタとバニュワンギでは言葉も文化も違います。ジャワだけの話ではありません。タイも、フィリピンも、多くの国々は単一の文化の国などなく、それぞれの地域に豊かなバライティの文化が、いろいろな色の花が咲くように存在し共存している・・・それが現実であることが、よく見えてきます。
 日本とて例外ではありません。テレビ、雑誌、標準語、ネット、J-POP・・・そうした共通する文化が、差異を見えにくくしていますが、自分が育った福島と今住んでいてる東京とを較べたって、たった二百数十kmで、文化の地層は様々な様相、差異を見せてくれます。わたしたちは、共通する文化や言葉があるおかげで、双方の交通やコミュニケーションが楽になるという恩恵を受けています。それは明治以降の先人たちの努力によるところが大きいのだと思います。そのことの重要さも押さえつつ、しかし、そのことで消えてしまった豊かさがあることも自覚しつつ、地層の奥底にある、本人たちですら気づかないような差異が、実は、わたしたちの今現在の文化をより豊かなもにする可能性を秘めていると思っています。いや、単に地層の奥底だけではなく、表層ですら、その差異は今でもバライティに富んでいるし、逆に地層の奥底に予想もしていなかった共通したものが流れている・・・文化とはそのくらい重層的で複雑なものだということだと思います。
 ひとつの同じ国(文化)である・・・という無意識の前提にたたずに、それはそれとして、個々の豊かさ、多様さをどう見て行くか。アンサンブルズ・アジア・オーケストラという音楽の活動を通じて、わたしたちはそのことを考えています。
 わたしにとって宮古島は初めての土地です。ここでの出会いから何が見えてくるのか。はじまったばかりの札幌での活動、地元福島での活動、アンサンブルズ・アジアを通してのアジア各地との繋がり、そしてもうひとつの地元東京や日本各地での活動、テレビやラジオ、映画の仕事、長年わたしのキャリアを培ってくれた欧米・・・。これまでまったくバラバラだった活動が、多様なまま、バラバラなままアンサンブルをはじめているような、そんな感覚に襲われています。

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「宮古島コレクティブ」プログラム詳細発表!
「宮古島コレクティブ」は2月24、25日の2日間、沖縄県宮古島で開催されます。
2月24日のトークイベントは、石川直樹さんがアンサンブルズ・アジア・オーケストラの調査からバリ島、ジャワ島の祭祀や音楽を紹介。自身の宮古島との関わりについて話します。そして伊藤俊治さんが「サンギャン 儀礼の力」(伊藤俊治企画監修 東京藝術大学エスノアートラボ制作 2016)を上映し、クイチャーやバリ舞踏の関係など「地続き」の東南アジアと宮古島についてお話されます。そしてアジア域内のさまざまな音楽をレコーディングし発表している森永泰弘さんが、フィリピンやミャンマーなどの貴重な音源を発表。最後に宮古民謡唄者與那城美和さんの唄を交えて、宮古島在住のフランス人言語学者セリック・ケナンさんが宮古島の子守唄や正月のあやぐなどの唄を紹介。大友良英さんとの対話を通して宮古島の言葉の多様性に触れながらその背景にある島の歴史、文化について語る予定です。
2月25日のライブイベントは、大友良英さんにとって初の宮古島ライブとなります。宮古島を拠点に活動する「Black Wax」、宮古民謡唄者與那城美和が参加し、それぞれのソロとデュオ、セッションと即興演奏を予定しています。ノイズ、民謡、ファンク、ダブなどジャンルを超えた共演をぜひお楽しみください!
(添付する画像は「宮古島コレクティブ」のパンフレット裏面。アートディレクションは加藤賢策さんです。)
<プログラム>
2月24日 18:00- トーク 大友良英、石川直樹、伊藤俊治、森永泰弘、與那城美和、セリック・ケナンほか (開場17:30 予約不要・入場無料)
2月25日 19:00- ライブ 大友良英、與那城美和、ブラックワックスほか
(18:00開場 予約不要・チャージ:2000円・中学生以下無料)
場所:ブックカフェブレス(Book Cafe BREATHE)
住所:沖縄県宮古島市平良字西里809-3 1F
企画・制作:アンサンブルズ・アジア・オーケストラ(担当:有馬恵子)
お問い合わせ info@ensembles.info
アンサンブルズ・アジア主催:国際交流基金アジアセンター
詳細(ウェブサイト)http://orchestra.ensembles.asia

宮古島コレクティブ1

宮古島コレクティブ2

アジアンミーティング・フェス、いよいよ始まりました

 

各国なまりの英語、日本語、北京語、広東語、タイ語、ベトナム語が飛び交う楽屋、素晴しかったです。ディレクター、シンガポールの長身イケメン、チーワイは英語、北京語、広東語、福建語、タイ語が行ける上に、今日本語勉強中で心強いかぎり。
もう一人のディレクター、DJ Sniffは英語と日本語のネイティブで香港在住。
音楽は、たしかに言葉が通じなくても・・・という部分もありますが、されど言葉。言葉の壁を乗り越えていくのは、今の世界でも生半可なことではないのを、世界を旅していて、もう痛切に感じてきました。それだけに、こんな情況が生まれつつあるのは、素晴しいなって思っています。
今日はアジアン・ミーティング2日目でDOMMUNEからの生放送のustream配信のみ、ライブに来れない人はぜひチェックしてください。
そして、明日は青山スパイラル、月曜は神戸アートビレッジセンター。
11日は京都、元・立誠小学校 12日は京都メトロと回ります。14日にはそれを受けてアップリンクでトークもあります。
ぜひぜひサイトをチェックして来てみてください。
http://asianmusic-network.com/amf/

そして、そのあとも、札幌では2月17日に、札幌国際芸術祭のゲストディレクターとして初のトーク、パブリックミーティングがあります。ここでのトークもアジアンミーティングや、震災後の様々な活動が繋がったものになります。北海道のみなさん、ぜひチェックしてみてください。
https://www.sapporo-internationalartfestival.jp/publicmeeting/

さらに
そのあとは宮古島に行きます。2月25日宮古で音楽をやっている與那城美和さんやブラックワックスとの共演が予定されていて、本当に楽しみです。そして、ここでも前日の25日に、アジアのことを石川直樹さん、伊藤俊治さん、森永泰弘さん、與那城美和さん、セリック・ケナンさんたちとトークします。
https://www.facebook.com/EnsemblesAsiaOrchestra/posts/584874044993655:0

これが終わると、藤田貴大さんらとともに福島の中高校生とつくってるミュージカルの発表にむけて、フルスロットルです。実は昨年からほぼ毎月のように、福島に行って、中高校生たちと、一緒に作業をしていました。

でもって、こんな動きと同時進行でテレビ創世記の1950年代から80年代までの黒柳徹子をモデルにしたNHKドラマ「トットてれび」の音楽制作が、ものすごい勢いで進んでいます。演出はあまちゃんの井上剛、これまでにない音楽バライティ連続ドラマのようなものになりそうです。放送はたぶん4月末くらいから。
震災後、震災前、バラバラに見えていたひとつひとつの動きが、大きくうねりながら、自分の中では繋がっているんだなって思います。今年は休むのはあきらめて、やれるだけやります!

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